日本手外科学会雑誌
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自由投稿論文
Masquelet 法で治療した骨欠損を伴う犬咬傷後小指末節骨骨髄炎の1 例
辻本 淳上村 卓也矢野 公一
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2025 年 41 巻 6 号 p. 877-880

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抄録

Masquelet 法は外傷や感染による骨欠損に対する再建法で,主に下肢長管骨に用いられているが,手指に適用した報告は多くない.今回,犬咬傷後の骨欠損を伴う左小指末節骨骨髄炎に対して,Masquelet 法で治療を行った61 歳女性の1 例について報告する.First stage 手術では末節骨感染巣のデブリードマンと洗浄を行い,骨欠損部にvancomycin 含有の骨セメントを充填した.術後3 週間抗菌薬投与を行い,術後6 週でSecond stage 手術を施行した.骨セメントを除去し,被膜(induced membrane)の内部に腸骨海綿骨移植を行った.Second stage の術後16 週で骨癒合が得られ,術後24 か月で末節骨の骨欠損は再建され,感染の再燃もなかった.Masquelet 法は末節骨における骨髄炎に対しても,感染制御と骨欠損の再建が可能となる有用な治療選択の一つとなり得る.

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