2025 年 42 巻 3 号 p. 213-216
上腕骨骨幹部骨折症例において,受傷早期に超音波画像診断装置(US)を用いて橈骨神経を評価し,治療方針決定における有用性を検討した.対象は2009 年4 月~2024 年10 月に当院で手術した上腕骨骨幹部骨折36 例36 肢である.術前に橈骨神経麻痺を認めたのは4 例(11%)であった.このうち2 例ではUS 所見に異常を認めず,橈骨神経を展開せずに手術を行い,いずれも術後に麻痺は完全に回復した.残る2 例は1 例に神経嵌頓像,1 例に神経途絶像を認め,神経を展開すると,いずれも術中所見と一致していた.それぞれ神経嵌頓の解除,神経縫合を行い,いずれも機能回復が得られた.術前に麻痺がなかった32 例は,全例US にて異常を認めず,神経を展開することなく手術を行い,術後に新たな橈骨神経麻痺を生じた症例はなかった.上腕骨骨幹部骨折において,受傷早期にUS による橈骨神経の評価を行うことで,早期外科的介入が必要な橈骨神経損傷を的確に選別できる可能性が示唆された.