2026 年 42 巻 4 号 p. 423-426
当院で手根管開放手術を行った75 歳以上の症例(A 群)の臨床像に関して調査を行い,64 歳以下の症例(B 群)と比較して手術の有用性を検討した.単純X 線画像上,母指CM 関節症等の関節症性変化を認めた割合はA 群が41.5%であり,B 群に比べて有意に高値を示した.母指対立機能評価でKapandji のstage 分類2 以下を示した割合はA 群が48.9%,B 群が15.4%であった.A 群では,術前に運動神経遠位潜時が導出不能であった罹患手の2/3 が術後に導出可能となった.術前に遠位潜時が導出可能であった場合は術後1 年で有意に改善した.改善率は34.2%であり,B 群と比べて有意差は認められなかった.後期・超高齢者では短母指外転筋筋力の正確な評価が困難となる可能性がある.電気生理学的に重症な症例では改善が不十分となる可能性を踏まえた上で,手根管開放手術は後期・超高齢者においても有用な方法であるものと思われた.