2026 年 42 巻 5 号 p. 619-622
上腕三頭筋腱皮下断裂の症例3 例を後ろ向きに検討した.全例に手術を行い,上腕三頭筋腱にかけた縫合糸を尺骨近位部にpull out して縫着したものが1 例,suture bridge 法による解剖学的修復を行ったものが1 例,縫合糸アンカーを上腕三頭筋腱にかけ,尺骨近位部にpull out してbridging して補強したものが1 例だった.Pull out のみで修復を行った1 例では術後に骨片の転位を認めたが,最終観察時は全例で疼痛や動作制限を残さず経過良好だった.過去に報告された修復法のうち,suture bridge 法は解剖学的修復が可能で,固定強度も優れているとされている.一方で,アンカーを使用する際に骨折を生じたり,関節内に穿破するといったトラブルが危惧される.今回,著者らが行った打ち込みアンカーを使用せずに縫合糸アンカーのみで修復する方法では,そのようなリスクがより小さいと考えられ,高齢者や骨脆弱性のある患者に対して有効であると考えている.