2026 年 42 巻 5 号 p. 651-654
手根管症候群(CTS)の正中神経腫大に関連する因子と神経腫大が術後に及ぼす影響を調査した.CTS 患者166 例202 手を対象とし,超音波検査で測定した正中神経断面積(CSA)による診断のカットオフ値(12mm2)で2 群に分け,患者の臨床像および術後成績を比較した.CSA<12mm2 のA 群が51 手,CSA≧12mm2 のB 群が151 手であった.年齢,性別,BMI,腹囲,糖尿病の罹患率については両群で有意差を認めず,罹病期間はA 群がB 群と比較して有意に短かった.電気生理学的重症度はB 群がA 群と比較して有意に高く,術前の握力,ピンチ力,手根管症候群質問表スコアは両群で有意差を認めず,術後評価では握力の変化率のみA 群がB 群と比較して有意に高い結果であった.CTS の神経腫大には罹病期間が関与しており,腫大の程度が大きい症例でも術後の自覚症状や電気生理学的所見は同等に改善するが,握力回復が劣る可能性が示唆された.