2026 年 42 巻 5 号 p. 687-692
壊死性筋膜炎は,浅筋膜を中心に皮膚・皮下組織に壊死を引き起こす細菌感染症である.発症後急激に進行し,致死率が約30%と高く,四肢に発生した壊死性筋膜炎では感染を制御し救命するために大切断が行われることも少なくない.開放創を伴わない軽微な外傷を契機に発症した上肢壊死性筋膜炎を3 例経験し,いずれも溶連菌が起因菌であったにもかかわらず,それぞれ異なる臨床経過を辿ったので報告する.従来,壊死性筋膜炎は稀な疾患とされていたが,近年は劇症型溶血性レンサ球菌感染症罹患数の増加に伴い,多様な病態を伴って死に至る症例が増えている可能性がある.壊死性筋膜炎を疑う症例では,早期からの病態把握に努め,大切断を考慮しながら診療に当たるべきである.