【はじめに】小児がん経験者の移動能力と社会的状況の実態,移動能力に影響を与える可能性のある因子,移動能力と社会的状況の関連について調査した.
【対象・方法】2024年8から10月に,長期フォローアップ外来を受診した中学生以上の患者とその保護者にアンケ―トを実施した.
【結果】対象は57例.調査時年齢21.9±7.2歳.男性29人,女性28人.本人・保護者とも回答したのが31例,本人のみが16例,保護者のみが10例であった.小児がん経験者は,障害者就労支援サービスの利用率が高く,普通運転免許取得率が有意に低かった.通勤・通学時に保護者が送迎を行っていたのは8.8%であった.約20%の症例で,「通勤・通学先の選択に移動能力が影響した」「児の送迎が保護者の生活・就労に影響した」と回答していたが,移動支援事業について知っていたのは7例,利用していたのは1例であった.脳腫瘍,運動障害,視力・視野障害,聴力障害,高次脳機能障害,意識障害・転倒を伴うてんかん発作の残存が,移動能力低下のリスク因子であった.移動能力が低い群の方が,合理的配慮や特別支援,障害者就労支援サービスの利用率が有意に高かった.
【結論】小児がん経験者は,一般集団に比し移動能力が低下していた.適切な評価・訓練,社会福祉サービスなど情報保障により,移動能力が低下した症例でも社会参加が実現できるよう支援していく必要があると考えられた.