2026 年 42 巻 5 号 p. 702-708
特発性前骨間神経麻痺の診療経過を調査し,その治療方針を検討した.1992 年~2024 年に当科を受診した150 例が対象である.男性76 例,女性74 例で,年齢は14~69(平均45.7)歳,患側は右側55 例,左側83 例,両側12 例,経過観察期間は0~96(平均21.7)か月であった.これらの症例について,初診時の臨床所見,治療経過,治療成績などを後ろ向きに調査し分析した.手術の積極的な動機となる神経束のくびれの存在を術前に知る有力な手がかりは見いだせなかった.保存療法例においても,発症後2 年で70%以上が筋力M3 に,50%以上がM4 に回復した.保存療法例において,発症後9 か月以後にM0 の症例の最終成績は比較的不良であった.6 か月以後にM0 の症例については,神経線維束間剝離術が保存療法よりも有効であった.現時点での当科の治療方針として,発症後9 か月まで経過をみて筋力回復のない症例に対しては,神経線維束間剥離術を検討することにしている.