2026 年 42 巻 6 号 p. 851-855
手根管症候群に伴う母指対立障害に対して,著者らは移行腱として固有示指伸筋腱を用いる母指対立再建術を行ってきた.対象は12 例12 手で,手術時年齢は平均74.6 歳であった.術後成績をKapandji test,爪面対向角,および母指対立動作を要する日常生活動作20 項⽬からなる患者立脚型評価尺度を用いて評価した.Kapandji test による母指対立評価(平均)は術前6.0 から術後9.7,爪面対向角(平均)は術前63.2°から術後30.1°へといずれも有意に改善した.患者立脚型評価による母指対立動作の平均スコアは,術前47.8 点から術後29.8 点へ改善した.項目別では,爪を切る,ボタンのかけはずし,タオルをしぼる動作でスコアの改善が大きかった.いくつかある上肢の患者立脚型評価において,母指対立動作に関係する項目は多くない.本研究では母指対立を要する20 項目の動作を用いて母指の対立運動を評価した.母指の対立に特化した評価法があっても良いと考えられた.