2019 年 49 巻 1 号 p. 133-159
本論文では,目的変数ベクトルの次元数が大きいが標本数よりも小さい多変量線形回帰モデルにおいて,一般化情報量規準(Generalized Information Criterion: GIC)や一般化Cp (Generalized Cp: GCp)規準を特別な場合として含むモデル選択規準の最小化に基づくモデル選択を取り扱う.近年,目的変数ベクトルの次元数が標本数の増加に伴い無限大に発散してもしなくてもよい大標本・高次元漸近理論により一致性を保証したモデル選択規準が提案されている.残念ながらその一致性を持つモデル選択規準は真のモデルの確率分布が正規分布であるという仮定の下で提案されている.本論文では,大標本・高次元漸近理論の下で,先行研究で提案された正規性の仮定の下で一致性を持つモデル選択規準が,真のモデルの確率分布が正規分布ではない時でも一致性を持つことを示す.