2021 年 50 巻 2 号 p. 205-228
1階の自己回帰過程の係数が単位根から緩やかに乖離している場合の,標準化した最小2乗推定量の連続的に遷移する極限分布の分布関数と密度関数を導出する.これらの分布の導出は,Phillips, Magdalinos and Giraitis (2010)の漸近的な結果にもとづいている.彼らの結果から,標準化した最小2乗推定量の漸近的な分子と分母の同時特性関数を導出し,それを反転して数値積分することで分布関数と密度関数を求める.極限分布が連続的に遷移する様子をグラフで示す.また,標準化した最小2乗推定量の連続的に遷移する極限分布の分位点を数表化し,この分布の近似精度について詳しく評価する.