日本統計学会誌
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特集 : 医学・疫学分野における統計アプローチ(1)
日本人女性の出生子供数と各歳出生率の長期推移
船渡川 伊久子
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2025 年 54 巻 2 号 p. 145-162

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抄録

出産は人生のある一時期,主に10代後半から40代の間に生じるが,このライフイベントの遠い過去の趨勢がその後のライフスタイルや健康の変化と連動し,死亡などの指標と関連しているかもしれない.暦歴での変化だけではなく,集団の対応をとるために,出生年を意識した指標が重要となる.そこで,出生年が特定でき長期間遡れる出産に関する指標として,日本人女性の出生年に伴う出生子供数の分布の長期推移を明らかにした.1950年から2021年の国勢調査,出産力調査,出生動向基本調査の既婚女性の出生子供数を用い,国勢調査の未婚割合で補正した, 1890年から1973年生まれの45–49歳を中心とした日本人女性の出生子供数の分布を求めた.出生子供数の分布は5年刻みであるため,さらに,各歳出生率により詳細な1年刻みの変化を確認した.1900年代後半から1930年生まれ頃の間で出生子供数の分布は大きく変化し,最頻値は5人から2人になった.対応する出生年の各歳出生率は,10代,20代の低下と,出生年が一年新しくなるごとに若い年齢からの低下がみられた.

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