2026 年 55 巻 2 号 p. 359-373
本論文では,近年経済学の分野で注目されている処置選択問題における統計的決定理論の最近の研究結果を紹介する.近年,エビデンスに基づいた政策決定の重要性が広く認識されるようになっており,データに基づいて政策を導入するかどうかをどのように決定すればいいのか,という問題が重要になっている.このような処置選択問題に対処するために,多くの論文が統計的決定理論に基づいた最適な決定ルールについて研究している.本論文では,政策の効果が点識別される場合と部分識別される場合それぞれの処置選択問題を考え,それぞれの設定での最適な決定ルールについての既存結果を紹介する.また,処置選択問題をメタアナリシスに応用したIshihara and Kitagawa (2024)の研究結果についても紹介する.