スポーツ社会学研究
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自然と社会という文脈におけるアウトドア・アクティビティ
ブルックス アンドリュー前田 和司
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2005 年 13 巻 p. 11-22,121

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抄録
本稿では、オーストラリアの事例を用いながら、アウトドア・アクティビティと、自然及び社会の関係について検討する。それは、外国から持ち込まれた植物、動物、あるいは農業実践が過去において環境問題を引き起こしてきたように、普遍的な形態にあるアウトドア・スポーツやアウトドア・レクリェーションが、オーストラリアにとっていかに不適切であるかを検討することになる。そして、アウトドア・スポーツやアウトドア・アクティビティが、意図的であれ無意図的であれ、どのように環境教育の一種と見なされているかを議論する。本稿では、アウトドア・スポーツやアウトドア・アクティビティがどのように形成され、どのように広範な社会に貢献するのかを理解するために、それらを社会的、文化的に構成されたものとしてだけではなく、地理的に構成されたものとして理解されなければならないことを述べる。そして3つの事例を提示する。(1) オーストラリアにおけるブッシュウォーキングの歴史は、ある土地を理解しようという欲求に主として駆り立てられた社会運動が、公教育と訓練科目の影響の下で、その土地を不慣れで精通していない場所とみなすことに基づいた一般的なアウトドア・スポーツへといかに変容させられたかを描き出す。(2) Lyell Forest 固有の歴史と特性は、その森の、地元コミュニティにおける様々な理解を形成するアウトドア・アクティビティの多様なパターンと交差する。この事例は、アウトドア・アクティビティがコミュニティの中で環境的知識をどのように分配するか、そしてコミュニティの関心をどのように形成するのかを見せてくれる。(3) 輸入されたスポーツとしてのクロスカントリー・スキーは、オーストラリアの山岳地帯を普遍的な遊び場へと変容させようとするテクニカル・スポーツとみなすことができ、それはある種の誤った環境教育である。ここでは、クロスカントリー・スキーを、ローカルな環境に対して敬意を払うために、どのように展開させることができるかについて議論する。
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© 日本スポーツ社会学会
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