抄録
AI,ロボット,IoTなど先端科学技術発達に伴って急激に変化していく社会に対応して社会的な課題を解決できる人材育成が求められているという背景の中,STEM教育およびSTEAM教育が世界的に注目を集めている。中央教育審議会答申(2021)では,STEAM教育を通じて資質と能力を育成することが示されている。しかし,STEM教育において「科学,技術,工学,数学の統合」に関して,各教科の知識やスキルを活用するだけではなくそれらを創ったり深めたりするような活動の必要性が指摘されている。特に数学の位置づけについては単なる道具に過ぎないのかという問題が提起されており,その解消が望まれている。本稿では,探究的活動と創造的活動とを架橋するモデルであるLearning by designモデルを用いて,数学教育とSTEAM教育の統合に焦点をあて,数学の知識が創られたり,深まったりすることが位置付けられているSTEAM教育の構築を目指し,その基盤となる理論について検討する。