日本血栓止血学会誌
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症例
ループスアンチコアグラントの検出について
―冠攣縮性狭心症から心筋梗塞をきたした1例を通じて―
御舘 靖雄朝倉 英策水谷 朋恵加藤 みのり伊藤 貴子山崎 雅英森下 英理子吉田 知孝斉藤 正典青島 敬二南 真司中尾 眞司
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2001 年 12 巻 6 号 p. 493-499

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抄録
抗リン脂質抗体症候群 (APS) は, 臨床症状と, 検査所見としての抗カルジオリピン抗体 (aCL) またはループスアンチコアグラント (LA) の陽性の両者から診断されるもっとも典型的な血栓性素因の一つである. 全てのAPS疑い症例において, 国際血栓止血学会科学的標準化委員会 (SSC) で提唱されているLA診断基準に従って忠実にLAの検査がなされているとは限らず, 施設間での診断法と検出感度の差異がみられるのが現状である. この度われわれの経験した冠攣縮性狭心症から心筋梗塞をきたした1症例は, 受託検査会社 (外注) のLA検査では陰性であったものの, 同じ検体を用いて測定した自家検査ではLA陽性となり, 施設間による差が認められた. このような差異が認められる理由としては, 検体処置過程における血小板除去方法の相違, LA診断の際に必須になる混合試験の方法の相違と, LA測定法の種類数の相違ではないかと考えられた. LA陰性と誤診されたAPS患者が存在する可能性があり, LAの検査法・診断について慎重に扱う必要があると思われた.
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© 2001 日本血栓止血学会
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