我々はミスセンス変異 (F221S) とフレームシフト変異 (W501/G502+G) が異なるアレル上に存在する複合型ヘテロ接合体と考えられる先天性第XI因子 (FXI) 欠損症1家系を発見し,今回,前者の変異型FXIについて機能解析を行ったので報告する.細胞溶解液ならびに培養上清中のFXI抗原量を測定した結果,細胞溶解液中の変異型FXI抗原量は野生型と比べ差は認められなかった.培養上清中に分泌された変異型FXIの抗原量は,野生型に比べて有意に低下していた.ウエスタンブロット法の結果,野生型,変異型間に分子量の差は認められなかった.免疫蛍光染色,Endo H消化実験の結果から変異型FXI分子は小胞体内に停滞している可能性が考えられた.これらの結果から,F221S変異型FXIは細胞内での合成は正常に行われているが,分泌に障害がある可能性が示唆された.