2005 年 16 巻 3 号 p. 312-318
抗血小板薬の開発において出血時間は抗血小板作用や出血傾向の評価に用いられてきたが,従来のシンプレート法は皮膚に対する侵襲が問題となっており,より侵襲の少ないIvy法での評価系の確立が必要である.そこで日本人健常成人男子を対象としてアセチルサリチル酸,塩酸チクロピジンの出血時間におよぼす影響をシンプレート法とIvy法を用いて検討した.アセチルサリチル酸,塩酸チクロピジンそれぞれ単独投与ではシンプレート法においてのみ出血時間が延長したが,併用投与ではIvy法においても出血時間が有意に延長した.さらに血小板数の減少した患者におけるIvy法での出血時間の検討でも,明らかな延長が認められた.今回検討したIvy法は,データが比較的安定していて,皮膚への侵襲が少ないという特徴があり,シンプレート法に代わりうる検査法である可能性が示された.