日本血栓止血学会誌
Online ISSN : 1880-8808
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原 著
LPS誘発DICモデルに対するPGI2誘導体の効果
―凝血学的マーカー,血中サイトカイン濃度に対する影響―
久保 杏奈朝倉 英策表 美香荒幡 昌久門平 靖子前川 実生御舘 靖雄林 朋恵山崎 雅英森下 英理子吉田 知孝宮本 謙一中尾 眞二
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2005 年 16 巻 4 号 p. 372-377

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抄録

lipopolysaccharide(LPS)誘発ラットdisseminated intravascular coagulation(DIC)モデルに対して,PGI2誘導体であるベラプロストナトリウム(BPS)を投与することに伴う病態への影響を検討した.Wistar系雄性ラットを用いて,LPS 5.0 mg/kgを尾静脈より4時間かけ点滴静注し,LPS誘発DICモデルを作成した.BPS単独とLPS+BPS投与群については,BPS 0.2 mg/kgをLPS投与開始30分前から投与し,LPS投与終了まで4.5 時間持続点滴した.その結果,BPSはLPSによる血小板数およびフィブリノゲンの低下を有意に抑制し,thrombin-antithrombin complex(TAT)およびD-ダイマーの上昇を有意に抑制した.また,肝,腎障害も有意に改善した.同モデルにおいては血中tumor necrosis factor-α(TNF-α)およびinterleukin-6(IL-6)濃度の上昇がみられたが,BPS投与により有意に抑制された.以上より,LPS誘発ラットDICモデルに対するBPSの投与は,炎症性サイトカインの抑制,及びDICの改善効果が確認された.

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© 2005 日本血栓止血学会
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