日本血栓止血学会誌
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特集:「血栓止血の臨床─研修医のためにV」
5.凝固・線溶と臨床検査
北島 勲
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2008 年 19 巻 4 号 p. 462-466

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抄録
Point
(1)近年,生体内凝固反応という新しい考え方が導入され,生体内では第XII因子活性化から始まる内因系凝固の関与が少ない点に留意する必要がある.
(2)トロンボテストはPIVKAの影響を含めた凝固活性を反映し,測定時に凝固第V因子が補充されているため,第V因子欠損では低下しない.ヘパプラスチンテストは,PIVKAに対する感受性が低く,肝臓における凝固因子の産生能を反映する.
(3)アンチトロンビン(AT)はヘパリン存在下で約1000倍にトロンビン活性阻害速度が加速され(ヘパリンコファクター活性),臨床検査で示されるAT活性値はこのヘパリンコファクター活性を示している.
(4)プロテインS(PS)は,ワルファリン投与により低下するため,日本人に多く存在するPS欠損症診断には,ワルファリン治療前にPS検査を行う必要がある.
(5)プラスミノゲンアクチベーターインヒビター(PAI-1)は,感染症(とくに敗血症)で高値を示し,多臓器障害予後判定に有用である.
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© 2008 日本血栓止血学会
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