抄録
Points
(1) ビタミンK製剤の適応は,新生児・幼若乳児,低栄養,胆道系疾患,重症下痢遷延,抗生剤長期間投与などによるビタミンK欠乏症である.
(2) ビタミンK補充法には経口投与や静注投与などがあり,投与後のプロトロンビン時間(PT)や活性部分トロンボプラスチン時間(APTT)の短縮は治療的診断としても有用である.
(3) 幼若乳児では頭蓋内出血の頻度が高く,ビタミンKの予防投与が重要となる.
(4) 通常,ヘパリン1000単位の中和に硫酸プロタミン10~15mgを投与するが,反跳性の出血があらわれることがあり,この場合は硫酸プロタミンを少量追加する.
(5) 硫酸プロタミンは,エノキサパリンを最大60%しか中和できず,フォンダパリヌクスを中和しない.