抄録
症例は82歳,男性.40年前から尋常性乾癬に罹患している.2008年11月に転倒し,右前腕,右下腿を受傷したが,受傷部位からの出血が持続するために近医を受診した.血小板数 正常,PT<5%,APTT>200秒で,凝固第V因子活性を測定したところ3%未満で,インヒビターは7Bethesda U/mlであった.後天性凝固第V因子欠乏症と診断し,新鮮凍結血漿の投与を行い止血が得られた.その後,第V因子活性は徐々に増加してきたため経過をみていたが,2009年10月,下血をきたしたため再度受診した.第V因子活性の低下とインヒビター力価の上昇を認めた.この時,急性ラクナ梗塞を併発した.下血と梗塞後出血予防のためプレドニゾロンの投与を行ったところ,第V因子活性は速やかに正常となり,インヒビターも消失した.後天性第V因子インヒビターは,数ヶ月以内に自然消失することが多く,免疫抑制剤の効果は確立していない.本例は約1年にわたり凝固異常が持続したが,プレドニゾロンの投与で極めて速やかに改善し,免疫抑制療法の著効例と考えられたため報告する.