日本血栓止血学会誌
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特集「血栓止血制御のレギュラトリサイエンス」
国際共同研究:治験の仕組みと意義
後藤 信哉
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2013 年 24 巻 3 号 p. 282-285

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抄録
臨床医学では経験が重要である.しかし,個人に蓄積された経験には普遍性がない.普遍性を獲得するためには経験の数値データベース化が必須である.臨床の経験を数値化できれば,万人が共有できる.
「臨床的仮説」を検証するためには,予め設定したプロトールに則って症例を登録する.仮説の多くは薬剤Aと薬剤Bの有効性,安全性の比較であるためである.登録された症例は薬剤Aと薬剤Bにランダムに割り付けられる.医師,患者ともにどちらの薬剤に割り振られたのが解らない二重盲検とすれば検証された仮説の科学的価値は増す.
一般的に予後の改善した現在では仮説の検証には万を越える症例の登録が必要である.一国では短期間に大量の症例を集めることができない.国際共同試験が必須となる.各国毎に症例には特徴がある.国際共同試験では世界を代表する標準的症例に適応可能な仮説が検証される.その結果を各国に応用できる保証はない.
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© 2013 日本血栓止血学会
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