抄録
血管形成は生理的および病理的状態において重要な現象であり,盛んに研究が行われている.血管ネットワーク形成は3次元的な形態形成であるため,従来型の培養ではイメージング解析が難しかった.しかし,近年微細加工技術を利用して開発されたマイクロ流体システムでは,血管が伸長していく様子を詳細に観察することができる.また,マイクロ流体システムでは様々な微小培養環境を調節可能であり,血管形成のイメージング解析にも適している.このようなマイクロ流体システムを用いた血管新生モデルによって,血管形成における生体力学的因子の影響や細胞間相互作用などが明らかになってきた.特に,間質流などの流れ刺激による血管ネットワーク形成に関して研究が進んでいる.最近の研究では,より生理的な毛細血管モデルが構築できるようになっており,今後血管形成のイメージング解析による新たな研究の展開が期待されている.