日本血栓止血学会誌
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特集 血液凝固研究/臨床最前線
Factor XIII
一瀬 白帝
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2014 年 25 巻 4 号 p. 465-474

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抄録
要約:凝固第XIII/13 因子(FXIII あるいはF13)は,トロンビンで活性化され,フィブリンを架橋結合して安定化する.したがって,その先天性欠損症は重篤な出血症状を呈する.FXIII-A サブユニット(FXIII-A)とFXIII-B サブユニット(FXIII-B)からなり,前者が触媒活性部位を持ち,後者によって安定化される.近年,FXIII が血管新生,感染防御,骨形成,神経再生などにも働いている可能性が示されている.遺伝子クローニングにより構造機能関連のみならず先天性欠損症の分子病態的解析が進み,欠損の分子機序も明らかになった.欧米では組換えFXIII-A タンパク質製剤が登場し,新しい補充療法時代が到来した.一方,発展途上国ではFXIII 活性定量検査試薬やFXIII 濃縮製剤が入手できず,国際間医療格差が拡大している.後天性FXIII 欠乏症はありふれた病態で,その重症型のみ出血症状を示す.その一部は抗FXIII 自己抗体が原因の自己免疫性出血(血友)病XIII/13 であり,超高齢化社会に突入したわが国では症例数が年々増加し,昨年は年間15 名に達した.筆者らが,本疾患の診断基準「案」を作成したので,症例とその主治医の方々の参考用に提供する.
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© 2014 日本血栓止血学会
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