日本血栓止血学会誌
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25 巻, 4 号
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特集 血液凝固研究/臨床最前線
  • 武山 雅博
    2014 年 25 巻 4 号 p. 449-457
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/03
    ジャーナル フリー
  • 大森 司
    2014 年 25 巻 4 号 p. 458-464
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/03
    ジャーナル フリー
    要約:血液凝固第IX 因子(FIX)は肝臓で生合成されるビタミンK 依存性凝固因子の1 つである.FIX の構造はN 末からGla ドメイン,2 つのEGFP ドメイン,セリンプロテアーゼドメインをとる.FIX は活性化されると血液凝固第VIII 因子とカルシウムの存在下で,リン脂質依存性に共通系の血液凝固第X 因子(FX)を活性化させる.この内因系を介したFX の活性化は凝固反応の増幅に極めて重要である.FIX の遺伝異常による出血性疾患は血友病B として知られる.治療に用いられる濃縮凝固因子製剤は半減期が短く頻回の投与を必要とするため,新規治療法として長期作用型製剤の開発,ならびに遺伝子治療が注目されている.軽症血友病に出血傾向が少ないことからFIX が新たな抗凝固療法の標的として着目され,急性冠症候群や静脈血栓症に対するFIX 阻害薬の臨床試験が進められている.
  • 一瀬 白帝
    2014 年 25 巻 4 号 p. 465-474
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/03
    ジャーナル フリー
    要約:凝固第XIII/13 因子(FXIII あるいはF13)は,トロンビンで活性化され,フィブリンを架橋結合して安定化する.したがって,その先天性欠損症は重篤な出血症状を呈する.FXIII-A サブユニット(FXIII-A)とFXIII-B サブユニット(FXIII-B)からなり,前者が触媒活性部位を持ち,後者によって安定化される.近年,FXIII が血管新生,感染防御,骨形成,神経再生などにも働いている可能性が示されている.遺伝子クローニングにより構造機能関連のみならず先天性欠損症の分子病態的解析が進み,欠損の分子機序も明らかになった.欧米では組換えFXIII-A タンパク質製剤が登場し,新しい補充療法時代が到来した.一方,発展途上国ではFXIII 活性定量検査試薬やFXIII 濃縮製剤が入手できず,国際間医療格差が拡大している.後天性FXIII 欠乏症はありふれた病態で,その重症型のみ出血症状を示す.その一部は抗FXIII 自己抗体が原因の自己免疫性出血(血友)病XIII/13 であり,超高齢化社会に突入したわが国では症例数が年々増加し,昨年は年間15 名に達した.筆者らが,本疾患の診断基準「案」を作成したので,症例とその主治医の方々の参考用に提供する.
  • 桑原 光弘
    2014 年 25 巻 4 号 p. 475-481
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/03
    ジャーナル フリー
    要約:インヒビターを保有する先天性あるいは後天性の血友病患者の止血治療には,第VIII 因子/第IX 因子をバイパス(迂回)する製剤が必要になる.薬理学的濃度の遺伝子組換え活性型凝固第VII 因子製剤(rFVIIa)は,活性化血小板膜上で,第VIII 因子/第IX 因子をバイパスして直接第X 因子を活性化することが出来る.血漿から精製された活性型凝固第VII 因子が,インヒビターを保有する先天性血友病A 患者に初めて投与され,1983 年に報告された.その後rFVIIa は1996 年に欧州で,2000 年に日本で製剤として正式に承認された.また現在rFVIIa は,先天性第VII 因子欠乏症や,グランツマン血小板無力症の出血抑制に対しても承認されている.現在,rFVIIa の改良型製剤,あるいは別の作用機序によるrFVIIa の代替製剤の開発が,複数のメーカーより行われている.
  • 篠澤 圭子, 野上 恵嗣
    2014 年 25 巻 4 号 p. 482-493
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/03
    ジャーナル フリー
    要約:APC レジスタンス(APCR)の原因として発見されたFactor V R506Q(FV Leiden)変異は,欧米白人における主要な静脈血栓症のリスクファクターであるが,これまでアジア人からは検出されていない.今回私達は,血漿FV 活性が低下しているにもかかわらず,重篤な深部静脈血栓症をおこした日本人少年のFV 遺伝子からW1920R(FV Nara)変異を同定し,日本人において初めてAPCR に関連する血栓性素因を報告した.FV-W1920R は,APC から受ける不活性化と,APC によるFVIIIa の不活性化におけるコファクターとしての機能の,両者の機能障害によってAPCR を示すことを解明した.とくに,APC によるFVIIIa の不活性化に対するFV-W1920R のコファクター機能は,FVIII のR336 の開裂を完全に阻止することにより,FV-R506Qよりも強い機能不全であることを明らかにした.
  • 志田 泰明, 野上 恵嗣
    2014 年 25 巻 4 号 p. 494-503
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/03
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    要約:フォン・ヴィレブランド病(von Willebrand disease; VWD)は最も頻度の高い遺伝性出血性疾患である.フォン・ヴィレブランド因子(von Willebrand factor; VWF)が量的あるいは質的に欠損することで多様な形式を示す疾患である.1970 年代にVWF が同定され,1985 年にクローニングがなされて以来,VWD およびVWF に対する理解は飛躍的に進歩してきた.近年では分子生物学の進歩により遺伝子解析がすすめられ,病型ごとに責任変異の特定が試みられてきた.これらの成果により,VWD Type 2 および3 では遺伝子診断が病型診断に有用となってきた.とくにType 2 では,重症度の判定や治療への反応の予測にまで応用でき得る状況になってきた.一方,VWD Type 1 は複雑な疾患群であることが明らかになってきた.2006 年にはコホート研究やGenetic linkage and association (GWAS) study,2010 年にはCohort for Heart and Aging Research in Genome Epidemiology (CHARGE) study により,新たな病因が提唱されるに至っているが,まだ遺伝子診断を臨床に応用するには時間が必要であると考えられる.
原著
  • 加藤 忠, 緒方 完治
    2014 年 25 巻 4 号 p. 504-511
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/03
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    要約:【目的】先天性凝固因子欠損症の消化管出血と大腸内視鏡検査時に偶然発見された先天性凝固因子欠損症の特徴を検討した.【方法】愛知三の丸病院に消化管出血で受診した凝固因子欠損症34 例81 回の出血源と,新規発見例3 例(血友病A,血友病B,von Willebrand 病各1 例)を検討した.【結果】出血源は上部消化管病変65 回,下部消化管病変8 回,内視鏡処置後8 回で,内視鏡診断した26 例48 回では,上部消化管病変32 回(潰瘍21 回,粘膜病変9 回,癌2 回),下部消化管病変8 回(腫瘍2 回,大腸壁内血腫1 回,肛門病変5 回),大腸内視鏡処置後8 回であった.新規発見例は全例軽症で出血歴はあるが自覚がなく,検査前診断例は1 例のみであった.【結語】凝固因子欠損症では粘膜出血,大腸壁内血腫,ポリープ切除後2 週間以上での出血が特徴的で,軽症例発見には出血歴の注意深い問診と出血関連検査の軽度異常の精密検査が必要である.
凝固・線溶・血小板タンパク質の機能発現機構
  • 三浦 徳, 細野 崇, 関 泰一郎
    2014 年 25 巻 4 号 p. 512-515
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/03
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    Points
    ①TAF(I 56 kDa)は,活性化ペプチド(Phe1-Arg92; 20 kDa)と触媒ドメイン(Ala93-Val401; 36 kDa)から構成されている.
    ②活性化ペプチドは,4 つのβシートと2 つのαヘリックスからなるα/βサンドイッチ構造(Phe1-Val76),部分的にαヘリックス構造を形成したリンカー領域(Gln77-Arg92)に分けられる.
    ③トロンビンはArg92-Ala93 を加水分解して,活性化ペプチドを遊離させ,TAFI を活性化する.
    ④活性中心は,亜鉛イオンを配位したHXXE コンセンサス配列からなる.
    ⑤TAFI 特異的な活性阻害因子は存在せず,体内では不安定性により活性が制御されている.
2014 年度日本血栓止血学会 学術奨励賞
SPC 委員会活動報告
第8回日本血栓止血学会学術標準化委員会(SSC)2014シンポジウム
研究四方山話
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