抄録
要約:【目的】先天性凝固因子欠損症の消化管出血と大腸内視鏡検査時に偶然発見された先天性凝固因子欠損症の特徴を検討した.【方法】愛知三の丸病院に消化管出血で受診した凝固因子欠損症34 例81 回の出血源と,新規発見例3 例(血友病A,血友病B,von Willebrand 病各1 例)を検討した.【結果】出血源は上部消化管病変65 回,下部消化管病変8 回,内視鏡処置後8 回で,内視鏡診断した26 例48 回では,上部消化管病変32 回(潰瘍21 回,粘膜病変9 回,癌2 回),下部消化管病変8 回(腫瘍2 回,大腸壁内血腫1 回,肛門病変5 回),大腸内視鏡処置後8 回であった.新規発見例は全例軽症で出血歴はあるが自覚がなく,検査前診断例は1 例のみであった.【結語】凝固因子欠損症では粘膜出血,大腸壁内血腫,ポリープ切除後2 週間以上での出血が特徴的で,軽症例発見には出血歴の注意深い問診と出血関連検査の軽度異常の精密検査が必要である.