日本血栓止血学会誌
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特集 老化と血栓症
老化と虚血性脳血管障害
長尾 毅彦
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2015 年 26 巻 3 号 p. 272-275

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抄録

要約:虚血性脳血管障害と加齢の関係には2 つの側面がある.加齢とともに増加する基礎疾患とくに心房細動から引き起こされる心原性脳塞栓症,そして動脈硬化の伸展から発症するアテローム血栓性脳梗塞とラクナ梗塞である.脳は他の臓器と異なり,主幹動脈と細小動脈の動脈硬化の進行度が大きく異なり,均等ではない.主幹動脈の動脈硬化に起因するアテローム血栓性脳梗塞は虚血性心疾患同様に動脈壁のアテローム(粥腫)が原因となる.一方細小動脈の動脈硬化に起因するラクナ梗塞では,硝子脂肪変性を基盤とした血管内腔の狭小化が主体で,この変化は高血圧性脳出血と近似しているとの指摘が多い.近年では,脳出血の前段階とされる微小出血および大脳白質の虚血性変化と併せてsmall vessel disease と総称されるようになった.

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© 2015 日本血栓止血学会
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