2015 年 26 巻 4 号 p. 376-384
要約:独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)は,承認審査関連業務,安全対策業務,健康被害救済業務を一貫して行う機関として,それまでにあったいくつかの組織を統合する形で平成16 年4 月に創設された.PMDA 設立当時は,海外で標準的に使用される品目のドラッグラグ(開発ラグ+ 審査ラグ)が社会問題化しており,その解消に対する期待をクローズアップする見方もなされていたが,ドラッグラグがほとんど0となった近年では,アンメットメディカルニーズの開発ラグを生じさせない状況も整ってきた.このような医薬品開発に関する状況変化の中で,PMDA では,出口戦略を見据えた治験相談およびそれと一貫した承認審査が行われているが,抗凝固薬や抗血小板薬の領域の開発では,有効性の主要評価項目をハードエンドポイントとせざるを得ないことがほとんどであり,治験の中で厳密に日本人での有効性および安全性を結論づけることが難しいため,様々な工夫が必要となる.