日本血栓止血学会誌
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総説
グリコカリクスが関与する血管内腔の抗血栓性とその障害
射場 敏明
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2016 年 27 巻 4 号 p. 444-449

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抄録

要約:近年,血管内皮上に存在するグリコカリクス(glycocalyx)の役割が注目されている.プロテオグリカン(proteoglycan)やグリコプロテイン(glycoprotein),糖鎖などからなるこの構造は,血管内腔の血液凝固を抑制しているだけではなく,血小板や好中球の血管内腔への接着を制御したり,血管透過性を調節したり,ずり応力などの力学的刺激を感知するなど,多彩な機能を担っていることが明らかにされてきた.極めて繊細かつ跪弱なグリコカリクスの研究は,技術的課題もあってこれまで十分な進展がみられなかった.しかし最近になって検査手法の進歩にともない,ようやく新しい展開がみられるようになってきた.そしてグリコカリクスは敗血症や虚血再灌流障害といった急性疾患のみならず,糖尿病や動脈硬化などの慢性疾患においても,病態形成においても重要な役割を演じていることが明らかにされた.本稿ではグリコカリクスの構造や機能,疾病との関連などについて最近の知見を紹介する.

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© 2016 日本血栓止血学会
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