2017 年 28 巻 6 号 p. 708-713
要約:災害国日本ではこれまで幾度となく多くの災害に見舞われてきた.九州熊本も例外なくこれまで多くの水害や台風には悩まされてきた.しかし,地震についての経験は少なく備えも希薄であったと思われる.そうした中,熊本県では昨年4 月に熊本地方を震源とする2 度の大きな地震を経験した.建物は崩れライフラインは断たれ,道路は崩壊し交通機関は乱れるなど甚大な被害をもたらした.熊本県赤十字血液センター(以下,熊本センター)も建物被害を受け,県内の血液事業のうち採血業務は完全にストップしたが,血液を供給する販売業務(供給部門)はその後も継続することができた.それは現在,血液事業体制が広域需給管理体制であり,全国からの支援があって成し得たことであった.しかしながら,災害時における初動対応や医療機関との連絡体制や血液在庫の事前協議など,地震を経験して幾つかの課題が見えた.