日本血栓止血学会誌
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原著
Fc 融合遺伝子組換え第VIII 因子製剤を用いた血友病A インヒビターに対する免疫寛容療法
長尾 梓天野 景裕片山 春奈細貝 亮介萩原 剛鈴木 隆史
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2018 年 29 巻 3 号 p. 307-314

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抄録

要約:Fc 融合遺伝子組換え第VIII 因子製剤(rFVIIIFc)は,Fc により制御性T 細胞が増加することで,当該凝固因子に対する抗原性を低下させ,寛容の誘導と促進がなされることが動物モデルで示された.そのため,血友病インヒビター患者における免疫寛容療法(immune tolerance induction: ITI)の有効性が期待されている.今回,rFVIIIFc を用いてITI を施行した血友病A インヒビター3 症例を経験した.患者背景は重症型2 例,軽症型1 例で,プライマリーITI1 例ならびにレスキューITI2 例を施行した.プライマリーITI 症例は開始77 週で,またレスキューITI 症例のうち1 例は開始61 週(rFVIIIFc 変更後9 週)でインヒビターは消失し,海外および国内から報告のある標準製剤でのITI 成功率とほぼ同様であった.今回,rFVIIIFc によるITI はプライマリーおよびレスキューITI に有用な可能性が示唆された.

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© 2018 日本血栓止血学会
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