2009 年 21 巻 2 号 p. 138-142
筋突起過形成症術後に骨形成が認められた症例を経験したので報告する。患者は13歳の男児で開口障害を主訴に来院した。最大開口量は上下切歯間距離で13mmであった。画像所見では左側筋突起の過長が頬骨弓前方上縁内側面に干渉している状態が認められた。
左側筋突起過形成症の臨床診断の下,全身麻酔下に口内法による筋突起切除術を施行した。左側筋突起切除後も開口域は37mmで右側咬筋のつっぱりを認めたため,両側咬筋筋膜の剥離と切開を行い,開口域は43mmまで増加した。
術後3か月に筋突起切除部に骨形成を認めた。形成された骨は形態に大きな変化はなく,また,下顎枝と連続することもなかった。術後開口訓練を行い,術後34か月現在の開口量は32mmである。