日本血栓止血学会誌
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特集 静脈血栓塞栓症の予防の現状と今後の課題
消化器外科領域における周術期静脈血栓塞栓症予防のエビデンス構築に向けて
池田 正孝
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2018 年 29 巻 4 号 p. 348-352

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抄録

要約:静脈血栓塞栓症(VTE)は周術期に発生する時に致死的となる合併症であり,予防が最も重要である.本邦では2004 年に各学会合同のVTE 予防ガイドラインが作成されたが,消化器外科領域おいては個々の症例に対する予防法の選択基準がまだ十分とはいえず,新たなエビデンスに基づいた予防法の確立が望まれる.2012 年に発表された,米国胸部疾患学会(ACCP: American College of Chest Physician)の第9 版のVTE 予防ガイドラインでは,リスクスコアに基づくVTE 予防法が導入された.また,症候性VTE または大出血が予防のエビデンス構築における重要エンドポイントとなり,無症候性のVTE 発症に関してはその重要性が落ちたためエビデンスの創出には多数の症例が必要となった.ビッグデータに基づいたエビデンスの確立が一つの解決策で,症例登録システム,NCD(National Clinical Database)の活用が重要と考えている.

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© 2018 日本血栓止血学会
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