日本血栓止血学会誌
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原著
病初期に交差混合試験で先天性欠乏症と診断された後天性第V 因子インヒビターの2 症例
備後 真登鈴木 隆史篠澤 圭子上久保 淑子一木 昭人近澤 悠志村松 崇清田 育男大瀧 学四本 美保子萩原 剛稲葉 浩天野 景裕福武 勝幸
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2018 年 29 巻 4 号 p. 379-388

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抄録

要約:症例1 は55 歳,女性.血尿精査でAPTT,PT 延長を認めた.交差混合試験(CMT)は下に凸,第V 因子活性(FV:C)3.0%で先天性FV 欠乏症と診断した.その後筋肉内出血を呈し再度のCMTで凝固時間は補正されず,2.0 BU/mL のインヒビターが検出され後天性FV インヒビター(AFVI)と診断した.症例2 は84 歳,女性.尿路感染症で前医入院時にAPTT,PT 延長を認めた.CMTは下に凸,FV:C 15.9%で先天性FV 欠乏症と診断された.退院後に関節内出血を呈し再度のCMTで凝固時間は補正されず,5.0 BU/mL のインヒビターが検出されAFVI と診断した.両症例はステロイド治療でインヒビターは消失した.AFVI の病初期ではCMT で阻害パターンを示さず,先天性と診断されることがある.FV:C 低下時はCMT を繰り返すとともに,後天性の可能性も考えインヒビター測定が重要である.

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© 2018 日本血栓止血学会
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