2020 年 31 巻 6 号 p. 555-561
心房細動患者に対する抗凝固療法において,①塞栓症のリスク評価,②周術期の抗凝固療法,③虚血性心疾患を合併した心房細動患者に対する抗血栓療法,④出血時の対応に関するガイドラインの追記・変更が行われた.①では,生体弁患者は「非弁膜症性」として扱われ,一般的な非弁膜症性心房細動患者に対するワルファリンは年齢に関わらずINR1.6~2.6が推奨となった.②では,手技の出血リスクに応じて抗凝固薬の休薬は不要,可能なら避ける,休薬する,が明記された.③では,冠動脈ステント留置2週以降は,アスピリンを中止して抗凝固薬とP2Y12受容体拮抗薬との2剤併用療法を標準治療として行い,慢性期(1年以降)では抗凝固薬の単剤投与を標準治療として行うこととなった.④では,直接経口抗凝固薬(direct oral anticoagulants: DOAC)内服中の場合,軽度では「経過観察,DOAC 1回もしくは1日分の休薬」,中等度から重度では「休薬,活性炭投与,止血,輸液,十分な降圧,中和」を適宜行うとされた.