2021 年 32 巻 6 号 p. 665-671
近年,好中球はがんの進行において重要な役割を果たすと認識されている.好中球は環境や刺激によって多彩な表現型を持つように変化する.特に,好中球細胞外トラップ(neutrophil extracellular traps: NETs)という新しい好中球の形態が発見されてから,がんにおけるNETsの関与や役割について研究が進んでいる.転移に関する報告が多数あり,新しいバイオマーカー,治療標的の可能性が見出されている.この総説では,腫瘍の進展と転移におけるNETsの役割について最新の知見を含めて解説する.