日本血栓止血学会誌
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特集:がんと線溶
悪性腫瘍と凝固線溶マーカー
山田 真也朝倉 英策
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2022 年 33 巻 3 号 p. 329-337

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抄録

悪性腫瘍には,静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism: VTE)や播種性血管内凝固などの血栓性病態(凝固線溶異常)の合併が多いことが知られている.また,悪性腫瘍に対する治療に伴い凝固線溶異常を呈することもある.近年では悪性腫瘍治療の進歩が目覚ましく,長期的な生存率が上昇しているため,「がんの診断を受けた時から死を迎えるまでのすべての段階にある人」と定義されるがん “サバイバー” が急増しているが,サバイバーにおける心血管イベントやVTEの発症に注目が集まっている.悪性腫瘍治療前から治療中,治療後,また終末期においても,凝固線溶病態は著しく変化する.悪性腫瘍診療においては,凝固線溶検査を駆使した凝血学的な病態の評価を行い,最適な治療を選択することが必要である.

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© 2022 日本血栓止血学会
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