日本血栓止血学会誌
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特集:DIC Up To Date
敗血症性DICの診断と治療
梅村 穣
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2022 年 33 巻 5 号 p. 526-534

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抄録

敗血症性播種性血管内凝固(disseminated intravascular coagulation: DIC)は組織因子の放出を起点とする凝固カスケードの亢進と好中球―血小板―血管内皮の相互作用が複雑に関与したメカニズムで発症し,頻度,重症度ともに高い重要臨床課題の一つである.敗血症性DICに対して適切なタイミングで治療適応を検討するためには,日々繰り返し診断基準を用いてスクリーニングを行うことが重要であり,また血栓性微小血管障害症(thrombotic microangiopathy: TMA)などの類似の臨床像をきたす疾患と適切に鑑別を行う必要がある.敗血症における抗凝固療法の有効性はDICの有無,重症度によって異なる可能性があり,治療対象を適切に選定することが重要である.抗凝固療法を適切な時期に開始することも,その有効性に関与する重要な要素であり,最適な治療戦略を確立するためには,今後も研究を進めていく必要がある.

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© 2022 日本血栓止血学会
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