日本血栓止血学会誌
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特集:血友病患者のQOL向上を目指して
我が国における血友病レジストリの構築
松本 剛史
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2024 年 35 巻 1 号 p. 17-24

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抄録

レジストリは特定の疾患等の医療情報の収集のために構築したデータベースで,疾患の理解や医療の向上に役立てることと,新薬開発や市販後の安全対策を講じる薬事に関連した2つの目的がある.血友病では,男性の約1/5,000という有病率の低さ,また関節症の経過など長期にわたる観察が必要であることから,レジストリデータを利用した血友病患者のリアルワールドデータの収集は,治療の有効性や安全性の検証に有用であり,調査研究は我が国でも諸外国でも盛んに行われている.血液凝固異常症の中で患者数の最も多い血友病については,我が国でも1960年代以降とかなり前から調査が行われてきた.血液凝固異常症全国調査は20年以上継続してきているものの,データを有効利用することが困難なプロトコールで運用されている.我が国の新しいレジストリの開始に向けては,利活用可能な形でのデータ収集を行える形を目指しており,患者,医療者,企業,行政が一体となって構築作業が行われている.

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