日本輸血細胞治療学会誌
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原著
連続血球洗浄装置ACP215を用いて赤血球保存液を加えたFTRCの有効期間延長に関する検討
田村 暁秋野 光明佐藤 雅子本間 稚広山本 定光加藤 俊明池田 久實
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2009 年 55 巻 4 号 p. 508-515

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抄録
赤血球保存液を添加した解凍赤血球濃厚液(FTRC)について,in vitroにおける長期保存試験を実施した.冷凍赤血球(FRC)およびFTRCの製造には血球洗浄装置ACP215(ヘモネティクス)を用いた.はじめに,FTRCの製造法を検討したところ,Meryman改良法はValeri法よりも洗浄効果が高いことが示された.次に,保存液として米国で用いられているAS-3液,または国内での使用が認められているMAP液をFTRCに添加·保存し,その性状を調べた.AS-3を添加したFTRCの製造後7日目と14日目の溶血率はそれぞれ1.0±0.2と1.2±0.2%であった.MAP液を添加したFTRCの製造後7日目と14日目の溶血率はそれぞれ0.8±0.2%と1.4±0.3%であった.これらの値を現行のFTRCの12時間目の溶血率(2.9±1.4%)と比較すると,はるかに低値であることを確認した.
ACP215を用いてMAP液を加えたFTRCを製造した場合,米国食品医薬品局の溶血許容値(溶血率1%未満)を参考にすると,その有効期間を最長7日間へ延長する事が可能であると考えられた.
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© 2009 日本輸血・細胞治療学会
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