抄録
序論
重症心身障害児のケアは、個別性があり情報共有が難しい。A県内では、短期入所利用できる重症心身障害児者施設は8か所しかなく、利用者は自由に施設の選択が出来ず、不満を抱えて利用する家族が多いと予想する。B病院の短期入所を利用する家族のニーズを調査し、課題が明確化した。
研究方法
X年に短期入所を2日以上、2回以上利用した家族60名に無記名式アンケートを配布した。回収した40名の回答を単純集計と自由記載の内容を分析した。
倫理的配慮
院内の看護倫理委員会に承諾を得た。対象者に研究目的、参加の自由と、中止しても不利益のない事、研究以外にデータを利用しない事、希望時情報開示を行う事を書面で説明し同意を得た。本研究で知り得た結果は鍵のかかる場所で保管し、研究発表をもって破棄する。
結果
A病院は短期入所利用前に家族から十分な情報収集、姿勢管理の写真の使用、荷物チェックリストの作成をするなどの取り組みを行っており、短期入所サービスに対する満足度は82%であった。満足度が高かった項目は「個別性に配慮したケア」「安心して子を預けることができる」であった。満足度が低かった項目は「食事・水分」「清潔ケア」「職員の説明は丁寧か」「職員の児へのコミュニケーションが十分であったか」であった。
考察
A病院の現在の情報共有に対する取り組みが、職員間での情報共有や個々に合ったケアに繋がり、家族に満足感や安心感をもたらしていると考える。満足度が低かった項目は職員によって説明が異なることが、家族への不信感に繋がっていると考えられる。そのため、統一した関わりが求められ、利用時の状況を詳しく伝えることや、在宅に近づいたケアを行う事で不安や不満が軽減すると考える。
結論
1.家族の不安軽減には、職員間の情報共有と利用時の状況を家族へ詳細に伝えることが重要である。
2.個別性への配慮と自宅に近いケアの提供が求められる。