日本輸血細胞治療学会誌
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症例
カラム凝集法での抗D反応が弱いためpartial Dを疑い,遺伝子検査でpartial D(DBT-1)と判明した1例
西山 由加李泉田 久美子木下 美佐栄古屋 伴子吉浦 洋子川島 博信松永 彰井手口 裕田久保 智子迫田 岩根友成 洋子佐藤 博行清川 博之田中 光信高橋 順子谷 慶彦
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2011 年 57 巻 4 号 p. 267-273

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抄録

58歳男性.脳出血のため当院救命救急センターを受診した.入院時,AutoVue Innova®のカラム遠心凝集法によるRh血液型検査で抗Dの反応が(3+)と通常より弱く,weak Dまたはpartial Dが疑われた.各種市販抗D試薬およびエピトープ特異的抗Dモノクローナル抗体を用いた精査では,partial DのカテゴリーDBTとほぼ同様の反応パターンを示した.Polymerase chain reaction-sequence specific primers法によるRHD遺伝子解析ではexon 5,6および7の増幅が認められず,更にcDNAのRHD遺伝子領域を直接シーケンス法にて分析したところ,RHD遺伝子のexon 5,6および7がRHCE遺伝子のexon 5,6および7に置換していることが確認された.以上より,本例は本邦でも珍しいpartial DのDBT-1(RHD-CE(5-7)-D)と同定された.
カラム遠心凝集法での抗Dの反応は,試験管法に比べ強く反応することが多いので,カラム遠心凝集法で(3+)以下の凝集を示す場合は,weak Dやpartial Dの可能性を念頭におく必要がある.

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© 2011 日本輸血・細胞治療学会
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