日本輸血細胞治療学会誌
Online ISSN : 1883-0625
Print ISSN : 1881-3011
ISSN-L : 1881-3011
原著
赤血球製剤の院内適正備蓄量の検討
平賀 久代井出 めぐ美柳沢 美千代小林 香保里半田 憲誉加藤 亮介
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 60 巻 3 号 p. 465-470

詳細
抄録

当院は救命救急センターを有する地域の中核病院であるが,血液センターから1時間30分の距離に位置する.赤血球濃厚液(CRC:Concentrated Red Cells)の廃棄率を抑え,緊急輸血に対応可能な適正備蓄量を設定するために過去の主要診療科別使用量,血液型別使用量と備蓄量,廃棄率の関係を検討した.また,2011年における期間使用量と大量輸血,緊急搬送の関係を調査した.各年の血液型別廃棄率は,備蓄量が1日平均使用量の3倍を超えると増加し,現備蓄量は1日平均使用量のほぼ3日分であった.週間使用量の変動は大量輸血に依存し,約20%が大量輸血時に使用されていた.CRC緊急搬送の多くは大量輸血時に依頼していた.同型血不足時の異型適合血使用が3例認められた.大量輸血例数だけでなく緊急搬送回数も,血液型頻度に比例して認められた.以上のことから,同型血液不足時に,異型適合血を安全に使用する体制を整えておけば,平均使用量にみあった備蓄量,すなわち3日分で緊急入庫まで対応可能と考えられた.1日平均使用量と備蓄量,廃棄率の関係を検討することは,各施設の規模や診療機能に応じた適正備蓄量の設定に有効であると考えられた.

著者関連情報
© 2014 日本輸血・細胞治療学会
前の記事 次の記事
feedback
Top