日本輸血細胞治療学会誌
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原著
低温保存から10℃または28℃に曝露された赤血球製剤の品質
内藤 祐秋野 光明柴 雅之藤原 満博有澤 史倫遠藤 正浩本間 稚広山本 哲池田 久實紀野 修一牟禮 一秀髙本 滋
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2017 年 63 巻 6 号 p. 748-756

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抄録

日本において,赤血球製剤(RBC)は,2~6℃で保存しなければならない.しかし,RBCは,製品出荷や輸血検査等で一時的に保存温度の範囲外に曝露される場合がある.本検討では,保存温度の範囲外に曝露された照射赤血球液-LR「日赤」(Ir-RBC-LR)の品質を調べた.

Ir-RBC-LRが,保存9日目あるいは16日目に10℃で24時間曝露され,再び4℃保存された場合,溶血率は10℃曝露による影響をみとめず,保存28日目まで0.3%以下であった.ATP濃度は,保存28日目で3.5μmol/gHb以上を維持した.Ir-RBC-LRが,保存10日目に28℃で3時間曝露あるいは保存10および14日目に1時間曝露され,再び4℃保存された場合,溶血率は保存28日目まで0.2%以下であった.ATP濃度は,4℃保存群および28℃保存群何れも,保存28日目で3.0μmol/gHb以上を維持した.

以上の結果から,Ir-RBC-LRは,10℃曝露が24時間,28℃曝露が3時間あるいは1時間2回までであれば,赤血球の品質に与える影響は少ないと考えられた.

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© 2017 日本輸血・細胞治療学会
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