日本輸血細胞治療学会誌
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Print ISSN : 1881-3011
ISSN-L : 1881-3011
原著
T-PAS+またはビカネイト輸液を血小板保存液(PAS)として成分採血装置Trima Accelで採取したPAS置換血小板の品質の比較
小野寺 秀一金子 祐次小池 敏靖宮島 晴子森山 理恵茶谷 真西谷 祐三子平山 順一柴田 玲子柴 雅之永井 正佐竹 正博田所 憲治
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2017 年 63 巻 6 号 p. 780-787

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抄録

血漿の一部を血小板保存液(Platelet Additive Solution:PAS)と置換したPAS置換血小板(PAS-PC)は,残存血漿濃度が概ね20%から35%で,輸血後のアレルギー性輸血副作用の発生率が低いなど有用性が報告されている.本研究では,成分採血装置Trima Accelを用いて,10単位相当のPAS-PCが採取できるか検討した.採血目標を最終容量200ml,総血小板数2.5×1011/bag,残存血漿濃度35%に設定して延べ10例の採取を行った結果は,平均(範囲)で,容量が197ml(194~201),総血小板数が2.69×1011/bag(2.49~3.00),残存血漿濃度が35.0%(33.0~36.2)と,設定に沿ったPAS-PC採取が可能であった.また,T-PAS+またはビカネイト輸液をPASとして用いて,同一ドナーから採取したPAS-PCの品質をday7まで比較したところ,T-PAS+添加群ではday7まで製剤の品質を良好に維持できた.一方で,ビカネイト輸液添加群ではT-PAS添加群と比べて製剤のpHが7.7以上と高値を示し,day7においては,グルコースの枯渇がみられ,球状化血小板の割合もより高かった.

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© 2017 日本輸血・細胞治療学会
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