日本輸血細胞治療学会誌
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原著
当院の播種性血管内凝固症候群 (DIC) 治療に対する遺伝子組換えトロンボモジュリンの効果-136例 (感染症103例と血液疾患33例) の解析--感染症に合併したDICの転帰に影響を及ぼす予後不良因子としてSOFA scoreを同定-
河野 徳明田﨑 哲河野 清香吉田 周郎田原 良博栗山 拓郎山下 清落合 秀信下田 和哉菊池 郁夫
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キーワード: DIC, rhTM, SOFA score, prognostic factor
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2017 年 63 巻 6 号 p. 763-779

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抄録

(背景) 遺伝子組み換えヒト可溶性トロンボモジュリン (rhTM) のDICに対する有効性の報告はあるが依然としてDICは予後不良である. そのため, DICの予後不良因子の同定は必須である.

(患者と方法) 2012年5月~2014年11月に当院の136症例のrhTM加療のDIC患者 (感染症: 103症例, 血液疾患: 33症例) を後方視的に検討した.

(結果) 感染症合併/血液疾患合併DICのDIC離脱率は57.3% (59/103) ・54.5% (18/33) であった. 28日生存率は, 感染症/血液疾患合併DICで, 73.8% (76/103) ・87.9% (29/33) であった. 死亡例の感染症合併DIC/血液疾患合併DICで, DIC離脱率22.2% (6/27) /25.0% (1/4), DICスコア低下63.0% (17/27) /50.0% (2/4) であった. 多変量解析で感染症合併DICのSOFA scoreを予後不良因子として同定した (cut-off: 10).

(結論) 感染症合併DICの診断時の高SOFA score (>10) は予後不良因子であった. さらに, rhTM治療により, 一部の死亡例においても, 凝固マーカー改善を認めた.

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© 2017 日本輸血・細胞治療学会
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