日本輸血細胞治療学会誌
Online ISSN : 1883-0625
Print ISSN : 1881-3011
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症例報告
新鮮凍結血漿輸注後に輸血ルート内にひも状フィブリン塊を認めた1例
松田 安史坂井 晴香増永 志穂海老田 ゆみえ小林 洋子大岩 加奈大藏 美幸鈴木 孝二大嶋 勇成浦崎 芳正松原 美紀豊岡 重剛山内 高弘
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2019 年 65 巻 3 号 p. 590-594

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抄録

【緒言】輸血用血液製剤は他の薬剤との混合により物理的あるいは化学的変化が生じ,溶血や凝固が起こることがあるため原則的に単独の輸液ルートを用いて投与することが望ましい.しかし実際の臨床上は輸液ルートを複数確保することが困難な場合も多い.【症例】1歳児,乳児期に診断された固形腫瘍に対して新鮮凍結血漿-LR「日赤」(FFP)1単位を毎時20mlにて投与後,輸液ルート内にひも状の構造物が認められた.プラスミンによる分解試験を行うと構造物が消失しフィブリンと判断された.【考察】FFPはCaと反応することでフィブリンを析出する.当該患者ではメインの輸液にCaを含む酢酸リンゲル液が使われており,FFP投与時に生理食塩水による事前の輸液ルート内のリンゲル液の洗い出しが不十分であったことが考えられた.また小児であり流速も遅く輸液ルート内でFFPが停滞したこともフィブリン析出に影響した可能性があると考えられた.【結語】生理食塩水による輸液ルート内の輸液成分の洗い出しをしっかり行い,輸血との混合がない様にすることが重要と改めて認識された.

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© 2019 日本輸血・細胞治療学会
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