2023 年 69 巻 1 号 p. 8-14
キムリア製造には,原料細胞として必要十分なCD3+リンパ球を採取する必要がある.本研究では,Tisagenlecleucel治療を目的としたリンパ球採取を行った30例(小児5例・成人25例)を後方視的に解析し,血球自動分析装置で測定した採取途中産物中リンパ球数(CBC-Ly)と採取前末梢血CD3+比率から最終産物のCD3+リンパ球数が予測可能であるか検討した.
採取CD3+リンパ球数は2.39×109個(範囲:1.05~6.07×109個)で,全例で1回の採取で規定の細胞数を採取できた.採取開始約1時間の産物中CBC-Lyと末梢血CD3+比率から最終産物中のCD3+リンパ球数を算出すると,実測値と高い相関関係にあった(r = 0.854,P<0.001).ただし,2例で産物中CBC-Lyが測定不能で,1例でCD3+推定値と実測値で大きな乖離があった.
採取前の末梢血CD3+比率と途中産物中CBC-Lyから産物中のCD3+リンパ球数を推測することで,効率的にCAR-T細胞療法の原料リンパ球採取ができる可能性があるが,更なる検討が必要である.