2025 年 71 巻 1 号 p. 37-43
血液製剤の供給実績のある埼玉県内医療施設を対象として,院内輸血療法委員会(委員会)の設置状況,構成,活動内容,課題などに関するアンケート調査を行い,回答のあった96施設の委員会が挙げた課題について検討した.委員からの活発な意見・発言がないことが最も多くの委員会の課題で,次いで学会認定スタッフや輸血領域に詳しいスタッフの不在が多く,続いて,適正使用についての議論や対応ができていない,輸血療法に対する要望や困りごとが委員会に上がってこない,技師以外の職種の協力が得にくい,輸血管理料施設基準のために開催している・形骸化していることなどが挙げられた.大規模施設の委員会では輸血療法に対する要望や困りごとが委員会に上がってこないことや委員からの活発な意見・発言がないことを課題として挙げた施設が多く,より小規模な施設ではスタッフの不在に関する課題が多く挙げられていた.委員会の課題に地域による明らかな差異はみられなかった.